カンテラの明かりの中に

テントの外から、女性の声で、
「すみません」
その声に起こされて僕は、テントの外に顔を出しました。
「あ、きみか」
昼間、山登りの途中でたまたまいっしょになり、話をかわしたりした彼女の顔が、僕のつけた懐中電灯の明かりの中にうかびあがりました。
標高一千メートル足らずとはいえ、女性一人の登山はなかなか勇気のいることです。特にシーズンオフのいまは、登山者も少なく、なおさらでしょう。
「寝てると、テントのすぐそばから何かの物音がきこえて、恐くなっちゃって‥」
「このあたりは、小動物も多いからな」
僕は彼女がまだ、怯えたようにふるえているのをみて、なんだかかわいそうになりました。
「外は寒い。なんなら、テントに入らないか」
僕はカンテラの明かりをつけたテント内に、彼女を招きいれました。
「ごめんなさい、無理なこといっちゃって」
彼女はテントの中で僕と向き合うと、安心したように表情を和ませました。
それからはお互い、いろいろ話をかわしあい、笑いあったりして、静かな山の上がずいぶん賑やかになりました。
その声がふと、途切れたと思うと、僕と彼女はじっと目をみかわしていました。辺りには、二人のほか誰もいません。
僕は彼女の手をにぎると、そっとその身をひきよせました。彼女もさからうことなく僕のほうに体をよせてきました。
昼間、険しい山道で、彼女に手を貸したり、体をおしあげたりしたことがふと僕の中によみがえりました。あのときからすでに、
二人は相手を意識していたのかもしれません。
狭いテントの中で、僕は彼女のファスナーをおろすと、足にそってズボンをおろしていきました。
カンテラの明かりに、彼女のしなやかな太腿があらわになっていきました。手をあてると下着を通して、太腿のあいだがしっとりと濡れているのがわかりました。
僕は彼女を膝の上にのせると、唇と唇を重ねました。そして長いあいだ抱き合ってから、やがて、彼女の中に入っていきました。