人を待つ僕の横に、そっと立った彼女

地下鉄の改札口の前で友達を待っている時、一人の女性が僕の横にそっと立ちました。
ほっそりとした僕好みのかわいらしい女の子です。僕はしかし、電車をおりて階段をあがってくる乗客たちをみるのに忙しく、その女性のことは無視していました。
もう約束の時間をとっくに過ぎているのに、友達はまだ姿をみせません。いい加減いらいらしはじめた僕に、その時横に立っていた女性が声をかけてきました。
「恋人募集中ですか」
「はあ……?」
「よかったら、あたし、どうですか」
「え、いいですね」
とっさに僕は答えていました。彼女がその目的でさっきから、僕のそばを離れなかったのだと思うと、約束時間をやぶった友達のことなんか、もうどうでもいいように思えました。
「お茶でも、どうかな」
「いいお店、しってます」
彼女は僕に笑顔をみせながら、いっしょに歩きはじめました。
カフェで僕たちは30分ほど話を交しました。彼女は第一印象どおり、明るくで面白い娘で、いっしょにいるだけで気持ちが癒されるタイプでした。
「お酒はいけるの」
「もちろん」と僕が答えると、
「いいお店しってるわ」
と、彼女の方から席を立ちました。
その店は路地の奥にある庶民的な感じのする小さなバーでした。飲み過ぎたところで、勘定書きをみてもまず青ざめる心配のない店で、こういうところにも彼女の気取らない性格ででているようです。僕たちはそこで1時間、ビールとハイボールをのみかわしました。
二人ともいい感じで酔いもまわり、肩をだきあい、キスまでかわして、めぐりあったことを心から歓びあいました。
「これからホテルに行こう」
酔いにまかせて僕が言うと、
「あたし、いいホテルしってるわ」
と彼女が言いました。