運転手は見た!

タクシー運転手などという稼業を長年やると、人間には恥というものが本当にあるのかどうかと疑いたくなるような場面に出くわす時がある。
とある政令指定都市で個人タクシーを営む私は、主に夜の繁華街を流して酔客相手の商売で経営を維持している。
前後不覚となった者もいれば、今まさに殴り合いを始めようかという者たちを見かけることもある。
そしてごく稀にではあるが、情事の真っ最中という若い男女に出くわすこともある。
ある日、下半身の衣類を全て脱ぎ、人が二人ようやく並べるような雑居ビルの隙間で、立ったまま結合している男女を見かけた。
時間は午前三時を回っていた。平日ということもあって、周囲に酔客はほとんどいなかった。私も仕事を終えようかと思案し、繁華街をぐるりと巡っていた最中に情事にいそしむ彼らを発見したのである。
二人とも酔っているせいなのか、はたまた行為に夢中なのか、見つかる心配などしていなかったのか、とにかく私に気づくことがなかった。
私はタクシーを降り、売り上げの入ったバッグを手にその情事を物陰から眺めた。
声を上げるでもなく、ただただ荒い息を吐きながら腰を動かす二人。時折派手に怒張した男根が女から引き抜かれて僅かに見えた。
私はそこで、二人の結合位置が少々高いことに気づいた。肛門に挿入している。
しばらく二人は同じような動作を繰り返すだけだったが、やがて男の動きが速くなってきた。
ひそひそとした声で男が「出る、出る、出る、出していい?」と言う。残念ながらいくら声を殺したところで、私には漏れ聞こえていたのだが。
女が「出して出して、もう痛いから」と答えた。確かに男の陰茎は相当に大きい部類に入るだろう。少なくとも私にはそう見えた。
男が動きを更に速め、ラストスパートをかけた。そして一際勢いよく、深く突き刺したかと思うと、そのまま腰だけをゆっくりくねらせるように動かし、小刻みに身を震わせた。
間違いなく女の肛門の奥深くで、男の亀頭から精液が噴出している。それはかなり長かった。
「痛い痛い、早く抜いて」と女が声を震わせながら男に訴えると、まだ精液を出し切っていない男の陰茎がスルリと女の肛門から抜け出し、二三度しゃくりあげるかのように残滓を吐き出す。
結合の解けた二人。すると女が男から僅かに身を離し、勢いよくしゃがみこんだ。
「あー痛い!出る!」と、女はもう声を抑えることなく言い放つと同時に、まるで派手に障子を破くような音を立てて脱糞した。
ねばつく精液を第一陣に、少々固めの物を排泄し終えると、あとは形な黄土色の液体便を肛門から噴出する。
女は男の陰茎を痛がっていたのではなく、飲みすぎによる腹痛をこらえていたのだ。
排泄したくても情事におよんだがために出来ず、こんな屋外での排泄となってしまったようだ。
漂い始めた大便のにおいに耐え切れず、私はその場を後にした。